「OCRを入れる」ではなく、入力完了までを見る

紙やPDFを読み取って文字にすることと、基幹システムへ正しく登録することは別の問題です。実務では、表記ゆれ、マスター未登録、合計不一致、承認待ちなどが発生します。

そのため、読取精度だけで製品を選ばず、入力完了までの流れを先に可視化します。特に古いERPでは、標準CSV、指定ファイル、API、RPAの順に連携手段を確認し、既存環境を壊さない方法を選びます。

1. 入力元の種類

紙、PDF、FAX、メール添付、Excelなど、情報がどこから届くかを一覧にします。同じ名称の帳票でも、支店や取引先によって項目と位置が異なる場合があります。

2. 登録先と入力項目

ERP・基幹システムのどの画面へ、誰が、どの順序で入力しているかを確認します。CSV取込やAPIがある場合は、画面操作より先に検討します。

3. マスターとの照合

取引先コード、商品コード、勘定科目など、帳票の表記とシステム上の値が一致しない項目を洗い出します。AI読取だけでは、この照合処理は完了しません。

4. 計算と整合性ルール

合計金額、税額、明細数、日付、締め期間など、正しい入力かを機械的に確認できるルールを定義します。

5. 例外処理

文字が読めない、必要項目がない、マスター未登録、金額が一致しない場合に、誰へ戻し、何を確認するかを決めます。

6. 人が承認する範囲

初期はすべての候補を人が確認し、修正履歴を残します。安定した項目だけ自動確定へ移し、重要項目は承認を残します。

7. 効果測定

一件あたりの処理時間、修正率、差し戻し件数、締め処理の遅れを導入前後で比較します。件数だけでなく、確認負担が増えていないかも測ります。

最初は一帳票・一拠点から始める

すべての帳票と支店を一度に対象にすると、例外が増え、何が改善したか分かりにくくなります。発生件数が多く、入力ルールを説明しやすい一種類の帳票から始めると、短期間で修正率と削減時間を確認できます。

試験運用では、AIが作った入力候補を人が確認し、その修正履歴を蓄積します。安定した項目から自動化範囲を広げることで、現場の不安と業務停止のリスクを抑えられます。